読売新聞 平成28年3月25日
わが社のイチオシ 独居高齢者 見守り装置
一人暮らしの高齢者の見守りや介護への需要が高まって久しい。ひたちなか市の電子制御機器設計会社「インターフェースが開発した装置「『ifまもる』君」はセンサーで人の動きを検知し、離れて暮らす家族に1時間ごとにメールで高齢者の無事を知らせる。検知しないまま24時間が過ぎると、同社から家族にメールや電話が入る。秋山公彦社長(64)は「お年寄りが何もしなくても、家族が異変に気づける」と語る。
同社によると、一般的な見守り装置はこれまで高齢者がボ夕ンを押さなければ通報できない仕組みになっているものが多かった。カメラを使った装置もプライバシーが守られないとして、多くの高齢者が敬遠する。この装置はカメラがなく、トイレに入ったり、テレビをつけたりする生活反応を検知して自動的にメール送信するため、一人暮らしの高齢者とその家族にとって、メリットが大きいという。
北海道出身で、実家に一人で暮らす母親(96)の安否が気がかりだった秋山社長は、以前から見守り装置に興味を持ち、約5年前に開発を始めた。当初の製品は、メール送信に必要な適当な通信端末を入手できず、装置そのものも大型化。本体と設置費用で15万円以上かかり、普及しなかった。開発を諦めかけたが、ソフトバンクから紹介された通信機器メーカーの通信端末を活用することで、コスト削減と小型化に成功。2o15年に本体価格だけで設置費用のかからない装置を完成させた。
センサーに加えて手動の首振り機能を付けたことで、検知出来る範囲を拡大。県からは独性などが評価され、15年度の「県新分野開拓商品」の認定を受けた。
国立社会保証・人口問題研究所は今年1月に公表した「日本の世帯数の将来推計」で、65歳以上の単身世帯は、15年の625万世帯から40年に896万世帯まで増えると推計している。秋山社長は「孤立死などの問題も深刻化していく。この装置が解決に役立ってほしい」と話す。